風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「だって、・・・ここは陽斗さんの家です。
この2週間だって、ほとんど夜帰って来てないじゃないですか。
そんなのおかしいです、邪魔者は私なのに・・・。
今日くらい休んで下さい。
そんなに私と一緒にいたくないなら、やっぱり私が出て行きますから!!」

「おい!、薫ちょっと落ちつけ。」

彼の大きな声に私は我に返った。

私、何言って・・・。

苦い顔をして唇を噛み締める。

私にこんなこという権利ないのに・・・。

「・・・ごめんなさい。」



隣で小さな溜め息が聞こえた。

そして降参とばかりに座席に持たれかかり、顔を右手で覆う。

もう既に、車はマンションの駐車場に到着していた。

「薫は悪くない。
前にも言ったが、帰らないのは俺の勝手な都合だ。
今、薫に触れたら俺はもう我慢できない。
この意味わかるよな?
俺は薫を傷つけたくない。」


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