風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
もう私の中で答えは出ている。

例えそれが、私を好きだからではないとしても。

唯の欲情や興奮からだとしても。

後悔はしない。

「本当に良いのか?
もう後戻りは出来ないぞ?」

私は掴んでいた彼の腕に力を込めた。

「今日は、・・・一緒にいて・・・欲しいです。」

精一杯の言葉だった。

今までこんなに誰かを欲しいと思ったことなんかない。

誰かをこんなに愛したことも。


俯いた私の顔を持ち上げ、彼は優しい触れるだけのキスをする。

そして運転席から降り、私が乗っている助手席のドアを開けた。

「おいで。」

そう言って、私に手を差し伸べる。

私は黙ってその手を取った。

そのまま、彼のマンションのドアの前まで2人で歩く。


< 115 / 141 >

この作品をシェア

pagetop