風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「薫さん、私からも1つ聞いて良いだろうか?」
「・・・はい。」
彼の口調はいつもと変わらないものだった。
真っ先にもっと強く問い詰められるだろうと身構えていた私は、少し拍子抜けする。
「君は昨日、私の前で堂々と孫の恋人として私に意見をした。
嘘を付いていることに悪びれすることもなく。
だが、一夜明けてなぜ真実を打ち明けようと思ったんだ?」
「それは・・・。」
私は言葉に詰まる。
まさか、そんな質問が来るなんて。
「その上、真実を話した上で孫の嫌がる縁談をしないでくれと陽斗の為に頭を下げる。
そんな事をお願いするくらいなら、しばらくは嘘を付き続けた方が得策ではなかったのか?
もし私に嘘を付いたことに対する良心の呵責なら、そもそも昨日私の前で怯むことなく意見などできていない筈だ。
私も馬鹿ではない。そんな人間の言葉に耳を傾けたりなどしない。」
私は何も言い返せなかった。
やはり、会長の方が一枚も二枚も上手だ。
ちゃんと真実を打ち明けなければ、太刀打ちできない。
隠し事は不可能、全て打ち明けるしか・・・。
「・・・私が陽斗さんの近くにいることができなくなったからです。
私は約束を破ってしまった。
彼を・・・愛してしまったから。
彼がこの先私を受け入れてくれることはないのに・・・。」
わかってた事なのに言葉にすると、こんなに辛いなんて。
私は唇を噛み締めた。
「君は周りの人間に対してなら驚くほどの洞察力があるのに、自分の事となると全く見えていないのだな。
私がどれだけ昨日君に感謝したか、薫さん、君には分からないのだろう?」
「え・・・・・?」
私は下げていた顔を上げ、会長の顔を見た。
「・・・はい。」
彼の口調はいつもと変わらないものだった。
真っ先にもっと強く問い詰められるだろうと身構えていた私は、少し拍子抜けする。
「君は昨日、私の前で堂々と孫の恋人として私に意見をした。
嘘を付いていることに悪びれすることもなく。
だが、一夜明けてなぜ真実を打ち明けようと思ったんだ?」
「それは・・・。」
私は言葉に詰まる。
まさか、そんな質問が来るなんて。
「その上、真実を話した上で孫の嫌がる縁談をしないでくれと陽斗の為に頭を下げる。
そんな事をお願いするくらいなら、しばらくは嘘を付き続けた方が得策ではなかったのか?
もし私に嘘を付いたことに対する良心の呵責なら、そもそも昨日私の前で怯むことなく意見などできていない筈だ。
私も馬鹿ではない。そんな人間の言葉に耳を傾けたりなどしない。」
私は何も言い返せなかった。
やはり、会長の方が一枚も二枚も上手だ。
ちゃんと真実を打ち明けなければ、太刀打ちできない。
隠し事は不可能、全て打ち明けるしか・・・。
「・・・私が陽斗さんの近くにいることができなくなったからです。
私は約束を破ってしまった。
彼を・・・愛してしまったから。
彼がこの先私を受け入れてくれることはないのに・・・。」
わかってた事なのに言葉にすると、こんなに辛いなんて。
私は唇を噛み締めた。
「君は周りの人間に対してなら驚くほどの洞察力があるのに、自分の事となると全く見えていないのだな。
私がどれだけ昨日君に感謝したか、薫さん、君には分からないのだろう?」
「え・・・・・?」
私は下げていた顔を上げ、会長の顔を見た。