風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
そんな私を見て、会長は大きな溜め息を付く。

「陽斗、本当にお前は信用がないのだな。
まあ、自分で巻いた種だ、自分で何とかするしかない。
絶対に手放したりすんるじゃないぞ。」

「あなたに言われなくても、そうします。」

会長は彼の言葉に右唇を上げて笑った。

そして、今度は私を見る。

「薫さん、忘れないでくれ。
私はいつでも君の見方だ。」

そう言って、会長は部屋を出て行ってしまった。



後に残ったのは彼と私だけ。

「完全に祖父さんを味方に付けちまったな。」

そう言って、彼は私の隣に腰掛けた。

ソファにどっぷりと腰掛けて寄りかかり、そして大きな溜め息を付く。

そして暫しの間、彼は何も言わず黙ってしまった。

私は彼の顔を見ることも出来ず、身動きが取れないまま固まる。


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