風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「俺は薫が欲しい。」
静寂を破る唐突な彼の言葉に、私は更に固まった。
「薫を誰にも渡したくない。誰の目にも触れさせたくない。
他の男と話すことさえ不快だ。
増してや、俺じゃない誰かが薫に触れるなんて絶対に耐えられない。」
「・・・・・・。」
余りに直球な彼の言葉に、顔が熱くなるのを感じた。
彼の熱におされて。
「出来る事なら薫を檻に閉じ込めて、誰にも目の付かない所に隠しておきたいとさえ思う時がある。
呆れるよな、引くだろう?」
今度は何とか首を横に振ることができた。
「そんなこと・・・ないです。」
だって、私も似たようなこと考えてるから。
彼には他の女性と親しくして欲しくないし、誰にも渡したくない。
「俺は薫のことになると、冷静ではいられなくなるんだよ。
この意味分かるよな?」
彼は私をまっすぐ見た。
気迫の凄さに視線を逸らすことができない。
まるで金縛りにあったみたいに。
それでも、私の心の片隅では警戒音が鳴っている。
本当にこのまま信じて良いの??