風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「・・・何のですか?」

「俺と薫の関係が今は何もないことを話した上で、後2カ月間何も手を出さず待ってくれるように頼んだ。
2ヶ月後、俺が薫の気持ちを手に入れられなかったら祖父さんの言う事を何でも聞くと言う条件で。」

「・・・嘘。」

何それ・・・。

「俺はその2カ月に賭けた。君を絶対自分の物にするつもりだった。」

そんなの無茶だ。

「そんなの・・・自惚れにも程があります。」

私があなたの事、絶対に好きになるって思ってたの?

「自惚れか・・・正直、自信なんて全く無かったよ。
実際この2カ月間、俺は君に振り回されてばかりだったからな。
だが、同じ事だと思ったんだ。
君を手に入れられないなら、他の誰と一緒になっても同じだってね。
だから、それなら会社の為に祖父さんの進める相手と結婚しても良いと思った。
少しは有効活用できるだろう?」

・・・呆れた。

彼は他人の人生について話しているかの様に、平然と言ってのけた。

怒りが全身に湧き上がる。

自分の人生何だと思ってるの?!

何でもっと自分のこと大切にしないの??

そんな大事なこと、私に託すなんて・・・。

「・・・どうして・・・どうして私なんですか?!」

「どういう意味だ?」

彼ならどんな女性だって、向うから寄ってくる。

もっと素直で、女性らしくて。

彼に相応しい人が。

なのに、何で私なの?

こんな天邪鬼、すぐ噛み付くし、毒も吐くし。

私だってそのくらい、自分で自覚してるもん。


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