風味絶佳～嘘からはじまる２人の関係～

Act4.

「君はここで待ってろ、事情を聞いてくる。」

彼女は俺の言葉に何か言いかけたが、それを聞く前に俺は車を降りた。


ここは彼女のアパート前。

そこには沢山の野次馬が集まっていた。

その真ん中では、数人の人間が言い合いをしている。

俺は近くにいる野次馬の男に事情を聞いた。

「すみません、何があったんですか？」

彼は誰かに話したくて仕方がなかったのか、興奮して詳しく事情を説明してくれた。

俺はその話を聞いて、直ぐに彼女のいる自分の車に戻る。

車の近くに戻ると、彼女は助手席から降りて外で心配そうに待っていた。

「安曇さん、何があったんですか？」

とても不安そうな顔。

俺は先程聞いた内容を彼女に話した。

「住民の不注意による水漏れが起きたらしい。
当事者の部屋も水浸しだが、その下の階の部屋も全滅だそうだ。」

聞いた男の話によると、アパートの前で揉めていたのは水漏れを起こした本人と不動産会社の人間、それと大家。

他には被害にあった住人数名のようだ。



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