風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
慌てて私は彼から視線を逸らした。

もう、どうして良いか自分でも分かんない。


だけど、そんなのお構いなしに彼の足音は近づいてくる。

「すごく良い匂いだ。美味そうだな。」

カウンター越しに聞こえる彼の声。

「今日帰ってくるって言ってたので、多分日本食が恋しいだろうなと思って・・・。」

私は視線を上げることができなかった。

こんな顔、彼に見られたくない。

いつもより口調が早口になってるのが、自分でも分かる。


「それは光栄だ、普段作らない君が料理してくれるのか。」

「え!?、何ですかそれ?」

何でそんなこと・・・。

「確か効率悪いからしないんじゃなかったかな?」

「どうして知って・・・?」

思わず本当のことを言ってしまう私。

彼はそんな私を見て、楽しんでいる様だった。


< 38 / 141 >

この作品をシェア

pagetop