風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
目の前の彼女はとても儚く、今にも消えてしまいそうに見えた。

「そんなに嫌か?俺に触れられるのが?」

「違っ・・・、違います。」

俺のその問いに、彼女は頭を思い切り横に振って否定する。

「今のは・・・、突然だったから・・・ビックリして・・・。
ごめんなさい・・・。」

じゃあ、もう一度彼女に触れても問題ないってことだよな?

今度は彼女の腰に触れ、そっと優しく俺の胸に抱き寄せた。

少しビクッとしたものの、拒絶される事なく彼女は俺の懐に収まる。

しかし、緊張で体が強張っているのが分かる。


俺は溜息を一つ漏らした。

「大丈夫なのか?これから君を恋人として連れて歩けば、君に触れない訳にはいかないんだぞ。
そんな状態では、すぐにばれてしまう。」

俺だって流石に今のは傷付いたぞ。

「ごめんなさい・・・。」

俺の腕の中でシュンとする彼女。

別に君を責めている訳じゃないんだ。

「俺に触れられるのが嫌ではないんだな?」

もう一度俺は彼女に確かめる。

「違います!!・・・今のは本当にビックしただけで・・・。」


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