風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「おい、香坂大丈夫か??」

「え!?」

隣から突然話しかけられて驚く私。

何が起こったのかわからなくて、周囲をキョロキョロ見渡す。

「おいおい、しっかりしろよ。もう昼だぞ、何ボーっとしてるんだ?」

先輩の言葉に私は時計を見る。

嘘、もうそんな時間??

事務所には、既に私と3つ年上の上原先輩しか残っていなかった。

「あ・・・、すみません。大丈夫です、考え事してただけですから。」

私は先輩に苦笑いしてみせた。

何やってるのよ・・・私。

「本当に大丈夫か??お前、顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」

いつもより歯切れの悪い返答を返した私を心配したのか、先輩は私の顔を覗き込むと、おでこに手を当てた。

「う~ん、熱はないようだな。」

先輩はもう一方の手を自分のおでこに当て、体温を確かめながらそう呟く。


なぜなんだろう?

やっぱり何も感じない。

上原先輩だって、一般的に言えば背が高くて身体もしっかり締ってて、格好良い部類に入るだろう。

仕事だってできる。

現に社内でも人気があるし。

なのに、やっぱり違う。

安曇さんのときとは全然・・・。

どうして・・・・・・?


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