風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「薫、昼休みに俺の部屋に来いと言わなかったか?」

・・・そう言えば、今日の朝そんな話したような・・・。

忘れてた・・・。



え、ちょっと待って!今私の事薫って呼んだ?

上原先輩、安曇さんと私を交互に見てキョトンとしてる。

「ちょっと、安曇さん!!」

途端に私の頭の中はパニック状態。

だけど彼は冷静そのもので。

「いくら待っても薫が来ないからだろう?」

また薫って、もう誤魔化せないじゃない!?

「安曇さん、黙って!!」

慌てて叫んでしまった私の声は、事務所に大きく響き渡った。

もうおしまいだ・・・。


そんな私をみて、溜息をつく彼。

「そんなに嫌なら早く来い。」

そう言って私の手を掴み、事務所から連れ出す。

今さら場所変えたって、もう遅いよ。

そのまま役員専用のエレベーターに向かう。

無人のエレベーターが到着し、お互い無言のまま乗り込む。

そこは完全なる2人きりの空間。


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