風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~

最初に口を開いたのは私だった。

「どうして、あんなこと言うんですか!?」

私は隣を睨んだ。

だけど彼は、そんな私の言葉に全く動じることなく私を見据える。

そして、冷たく言った。

「君が約束の時間になっても現れないからだろう。
携帯に電話したが、全く繋がらない。だから事務所に行っただけだ。」

「だからって私の事、下の名前で呼ぶ必要ないじゃないですか!?」

あれじゃ、誰だって私と安曇さんに何かあるって疑う。

絶対上原先輩も変に思った。

「俺は何もおかしい事はしていない。それより君はどうなんだ?
なぜ簡単に他の男が触れるのを許す?」


それってどういう・・・。


「決めた筈だぞ、計画実行中は別の異性と怪しまれる行動は禁じると。」


もしかして、上原先輩の事・・・??


「あれは先輩が私を心配して行った行為で、決してやましいことは・・・。」

何も疑う余地なんて。

「なぜそう言い切れる?」

・・・・・・。


< 53 / 141 >

この作品をシェア

pagetop