風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
しかし次の日、彼女はいつもの彼女に戻ってしまった。

いや、以前よりどことなく俺を避けている。

そう感じるのは、俺の気のせいだろうか?

一歩近付いたと思うと、また離れていく。

俺の中で不安が拭い去れない。

こんなことは初めてだった。

どう対処すれば良いのかわからない。


だが、俺は薫を手放したくない。

これは俺の最後のチャンスだから。

その後も何かと理由を付けて、彼女を俺の手元に縛りつけようとばかり考えている。

それだけ彼女に対して本気だということだろうか?

俺は自分に苦笑する。


「気にするな、俺が帰らないのは薫のせいじゃない。」

俺は少しぶっきらぼうに彼女に返答した。

そう、彼女のせいじゃない。

これは俺の問題だ。


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