風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
もう心も身体も限界にきている。

自分が抑えられない。

次に彼女に触れたら、どうなってしまうか・・。


「じゃあ、どうしてですか?」

彼女がそんな答えで納得しないことは俺だって分かってる。

だが、本当の事が言える筈もない。

まさか、一緒にいたら君を襲ってしまいそうだからなんて言えないだろう。


「仕事上の都合だ。」

我ながら、無難な答え。

だが、嘘は付いていない。

実際に仕事が忙しいのは確かだ。

それは今始まったことではないが・・・。

「そんなに仕事、大変なんですか?」

彼女の声に、少し心配そうな声色が加わる。

「大丈夫だ、このくらいで俺はくたばったりしない。」

こういうときでも心配はしてくれるんだな。

少し罪悪感。


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