風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「・・・・・・・・・。」
でも、まだ彼女は納得していない。
つかの間の沈黙が流れる。
何となく彼女の考えていることがわかった。
「勘違いしないでくれ、毎朝マンションに一度帰るのも俺の都合だから。」
だから俺は先手を打つ。
「でも・・・、私もっと周りに疑れない様に行動しますから!!
もう、この前みたいに迷惑かけない様に行動します。
お酒も控えます。
・・・だから、もっと自分のことだけ考えて下さい。
じゃないと、・・・陽斗さん本当に倒れちゃう。」
やはり、彼女は自分を責めている。
自分の行動が危なっかしいから、俺が放っておけないのだと。
だから心配して毎朝俺が彼女を迎えに来るのだと思っているのだ。
「薫は良くやってくれている、本当にこれは俺の都合なんだ。」
少しでも、薫といる時間が欲しくて。
一緒に出勤して薫は俺のものだと、周りに見せつけたくて。
全ては彼女の為なんかじゃなく自分の為。
本当に自分勝手な都合なんだ。
2人でいることを避けながら、彼女は俺のものだと誇示しようとする。
俺の勝手な都合。
笑うしかない。
都合都合って、言い訳がましい事この上ない自分に。