風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「来週末、呼び出された。
薫と2人で来て欲しいそうだ。」

俺は唐突に切り出した。

そろそろタイムリミットが近づいている。

どちらに転んでも行動に移さなければならない時期にきていた。

「それって・・・、会長にですか?」

彼女の顔色が変わる。

「ああ、祖父が動いた。」

昨日の夜、直接俺の携帯に連絡が入った。

祖父本人から。

ジイさんが薫に会ってから約2カ月が経っている。

あの人にしては辛抱強かった方だ。

まさか、このまま放っておいてくれるのかと思った程だ。

だが、現実はそんなに甘くない。


彼女との契約は祖父が見合いを諦めるまで。

それが終われば彼女は俺の前から去ってしまう。


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