風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「やっと笑ったな。 薫はその方が良いよ。
怒ってる顔も好きだけどな。」

途端に彼女の顔が赤くなる。

「安曇さん、からかうの止めて下さい!」

あっ、また苗字に戻ってる。

「安曇じゃないだろう?」

彼女はしまったとばかりにばつの悪い顔をする。

「だってまだ、慣れなくて・・・。」

「じゃあ、練習だ。もう一度やり直し。」

俺は好きな子をいじめる小さいガキか?

そんな自分自身に呆れる。

そんな俺の心を知ってか知らずか。


彼女は助手席で大きく深呼吸をした。

そして、一瞬にして顔つきが変わる 。

真剣な顔。

「・・・陽斗さん、心配しないで。
会長の前で完璧な婚約者、演じてみせますから。」

そう、その顔。

これが、俺を引きつけて止まない香坂薫だ。





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