風味絶佳～嘘からはじまる２人の関係～
「綺麗だ。」

俺は無意識に彼女の髪に触れ、呟いていた。

彼女の頬が少し色づく。

「お世辞でも嬉しいです。
今日は陽斗さんに恥をかかす訳にはいきませんから。
私、合格ですか？」

そう言って、少し心配そうに上目使いに俺を見る。

思わずそのまま抱きしめてしまいたい衝動に駆られた。

それは反則だろう。

可愛過ぎる。

「ああ、合格だ。」

いつもの格好でも十分綺麗だけどな。

俺は、自分の為にドレスアップしてくれた彼女の気持ちが嬉しかった。

彼女はその言葉に満面の笑みを浮かべる。

「ありがとうございます。
勇気が出ました。
さあ、行きましょう。いざ敵陣へ。」

そう言って俺の手を取り、屋敷に続く階段を自ら上る。

彼女から握られた手に引っ張られて、俺も後に続いた。


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