風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「初めまして、弟の安曇月冴(つかさ)です。
会社では経理で部長やってます。
兄貴より3つ年下の30歳ね。」

弟はニコニコしながら彼女と握手をし、ブンブンと腕を縦に振り回す。

おいおい、歳まで言う必要があるか?

薫は少し面食らった顔をしてビックリしながらも、弟に対応していた。

本当に調子のいい奴だ。

「やっと会えたよ。
社内では2人の事、結構噂になってるからね。」

「別に悪い事してるわけじゃない、隠す必要なんて無いだろう。」

俺の発言に弟は大きな溜め息をつく。

「これだから兄さんはわかってないんだよ。
兄さんはそれで良いかも知れないけど、大変なのは薫さんの方なんだよ。
薫さん、会社で嫌な事とかされてない?」

月冴の奴、俺が聞きたくても聞けなかったことをあっさり聞きやがる。

「大丈夫です、陽斗さんと付き合う以上そういう事は覚悟の上ですから。
あっ、でも今の所何もありませんから心配しないで下さい。」

そう言って、彼女は俺の顔を見た。

彼女の目はこう言っている。

『余計な手出しはするな。自分で解決するから。』


そう、彼女はこの件に関して俺の助けを必要としていない。

自分で解決するつもりでいるのだ。


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