風味絶佳～嘘からはじまる２人の関係～

「分かった。」

俺は、そう一言だけ薫に言った。

君の気持ちは理解したと。


「俺が心配する事なさそうだね。
なんだ、俺の出番はなしか。」

弟は両手を上にあげ、残念とばかりにおどけて見せた。


「ねえ、私には紹介してくれないの？」

弟の後ろから、今度は妹が顔を出す。

「妹の安曇星莉奈(せりな)です。
1ヶ月前から、秘書課で働いてます。
歳は27歳、宜しくね。
私、2人のこと応援してるから。」

そう言って、薫と握手する。

「あっ、同い年です。私も27歳。」

「本当！！ 何かすごく嬉しい。
もっと気取った人が来たらどうしようかと思ってたの。
でも、こんなおじさんで良いの？」

妹は俺を指差した。

おいおい、おじさんとは何事だ。