風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~

Act2.

「単刀直入に本題に入る。
今日お前達を集めたのは、陽斗の結婚についてだ。」

部屋に現れるなり俺たちを一瞥し、客間の大きなテーブルの上座に座った会長こと俺の祖父がいきなり切り出した。

まあ、祖父らしいと言えばその通りなのだが。

「お前には前島コーポレーション社長のお嬢さんと一緒になってもらう。」

結論も直球かよ。

「申し訳有りませんが、その提案には従えません。」

それなら、こちらも言いたい事は言わせて貰う。

「私は提案と言った覚えはないが、これは命令だ。」

「・・・従わないと言ったら?」

俺は静かに祖父を睨みつけた。

祖父も負けじと見据える。

一気に、場の空気が張り詰める。

しばらくの沈黙の間。

どちらも一向に引こうとする気配はない。


「香坂薫さん、あなたに聞く。」

先に動いたのは祖父の方だった。

祖父は俺から視線を外すこと無く、話の矛先だけを薫に変えた。


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