風味絶佳～嘘からはじまる２人の関係～
「陽斗は何れ遠くない将来、安曇Gr.の頂点に立つ。
安曇Gr.の頂点に立つという事は、3万人以上の社員の将来を背負うということだ。
私の言っていることが分かるだろうか？」

「はい。」

ここで初めて、祖父は薫を見た。

「よろしい、話を進めよう。
私は、まず手始めに半年後、社長の席を陽斗に譲ろうと思っている。」

そんな話、聞いてないぞ。

俺に話す前に、勝手に決めるなよ。

(因みに祖父は現在会長と社長のポジションを兼任している。)

「もう、事は動き始めているのだよ。
安曇の家に生まれてしまった以上、その事実を消し去る事は出来ない。
これから先、陽斗1個人の感情だけで決められることはどんどん少なくなってくる。
結婚もその1つだ。
そこであなたにに質問だ。
君と孫が結婚することに安曇Gr.として、何のメリットがある？」

「ジイさん、止めてくれ！！
これは俺の問題だ。
彼女を巻き込むのは筋違いだ！！」

「お前は黙ってなさい。
もしこのお嬢さんと結婚をする気なら、お前だけの問題ではなくなる。
彼女にだって安曇家の人間として、それ相応の責任が出てくる。
それとも何か、全てにおいてお前が彼女を守るとでも言うのか？」

「俺はそのつもりだ。」

「戯け、その年でそんな青二才な発言をしおって。
仮にも、安曇Gr.のトップになる立場であることを忘れるな。」

「俺は・・・、俺はそんなもの望んじゃいない！」

俺は思わず立ち上がっていた。


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