おっさんとは呼ばせない!
おにいは、妹の私から見ても結構イケメンだと思うし。
背だって高くて、細くて、お洒落で。


おっさんと呼ぶには、無理があると思う。


…そんな事、友達に言ったら、『ブラコン』とか言われてしまったけど。


「なに、呼ばれたいの?おっさん、って。」


からかうつもりでそう言ったら、おにいは、目の色を変えてこちらに向かってきた。


「おっさん、って、言うなああああぁぁ!!」


………。


ええ――――――――――!?


いや、あのさ、今…振ったの…おにいじゃん?


私、悪く…無いよね?


私は口の前で、入れる筈だったポテトチップスを、口から離した。


おにいは、しばらく私を睨んで、少ししてから階段を登っていった。
上から、『ぜえぜえ』という声が聞こえてくる。


そして、しばらくして、お母さんが買い物から帰ってきた。
私はお母さんに近付いて、こう耳打ちした。


「家の中で、『おっさん』って言うの禁止だからね。時に、おにいの前では。お父さんにも言っておいて。」


そう言うと、お母さんはキョトンとした顔をしていた。
< 7 / 17 >

この作品をシェア

pagetop