魔王に甘いくちづけを【完】
あれから、二人は真剣な顔つきで支度を整えてくれた。
可愛い顔した二人には悪いけれど、それは怖いくらいに思えて、いつもに増して緊張してしまった。
毎日思ってることだけど、二人にはもう少し柔らかく接して欲しい。
禁じられてるだろうけど、たまには楽しく雑談したいと思う。
信頼を得るために仲良くなりたいというのもあるけど、城の中の情報を手に入れたいというのが本音。
リリィが結構話してはくれるけど、どうしても範囲が限られてしまう。
それに、今私が知りたいことは、見習い侍女の周りにはないことだから・・・。
少し遅くなった朝食を食べながら、ふと窓の外が気になった。
―――そういえば・・・。
あの姿を探してみる。窓の外にあるはずの白い塊。
懸命に部屋に入ろうとアピールしてた姿を思い出す。
けれど姿はどこにも見えず、あんなに執着してたのにいつの間にか居なくなっていた。
―――もう諦めたのかもしれない。
でもどうして、あんなに部屋の中に入りたがったのかしら・・・。
不思議に思っていると、バサバサ・・・と羽ばたきのような、小さな音が耳に届いた。
外に目を向けると、白フクロウが戻ってきて例の場所にふわりととまったのが見えた。
くるくると頭と体が動いて、部屋の中を覗き込んだ。
「あれは、昨夜の・・・」
気付いた室長が窓際に寄ってきて、白フクロウを観察するようにしげしげと見た。
そんな室長の視線に構うことなく、それは眠ることに決めたのか、目を閉じてじーとしている。
小さな頭が胴に埋まって見えて、何だかとても可愛い。
あまりに大人しそうなので、ふわふわに見えるその白い羽に触れてみたくなる。
腕の中に入れたら、きっとあたたかい。
それに、ほんわりとした気持ちになれそう・・・。
急にムクムクと芽生えてきた愛玩心と闘っていると、細い指が窓の鍵を開け始めた。
ネジ式の鍵がカチャカチャと音を立てる。
それに気付いたのか、小さな頭がぴくんと動いた。
「・・・特に悪さをするようには見えませんが、一応追い払っておきます」
窓を開けて爪を伸ばした手をヒュンと振ると「ピィッ」と一声鋭く鳴いて、白い翼を広げて飛び上がった。
そのまますぃーと上空をひと廻りしたあとテラスの小さな柵の上にとまった。
ガラス玉の瞳は、室長の動向を探るようにじぃーと見ている。
これといって攻撃を仕掛けてくるわけでもなく、ただそこにいるだけなので室長も追い払うのをやめたよう。
「この窓の何が気に入ったのかわかりませんが、そのうち飽きて離れていくでしょう・・・」
ぱたん・・と窓を閉めた。
すると、すぃーと飛んで元の場所に戻り、再び頭を胴の中に埋めた。
可愛い顔した二人には悪いけれど、それは怖いくらいに思えて、いつもに増して緊張してしまった。
毎日思ってることだけど、二人にはもう少し柔らかく接して欲しい。
禁じられてるだろうけど、たまには楽しく雑談したいと思う。
信頼を得るために仲良くなりたいというのもあるけど、城の中の情報を手に入れたいというのが本音。
リリィが結構話してはくれるけど、どうしても範囲が限られてしまう。
それに、今私が知りたいことは、見習い侍女の周りにはないことだから・・・。
少し遅くなった朝食を食べながら、ふと窓の外が気になった。
―――そういえば・・・。
あの姿を探してみる。窓の外にあるはずの白い塊。
懸命に部屋に入ろうとアピールしてた姿を思い出す。
けれど姿はどこにも見えず、あんなに執着してたのにいつの間にか居なくなっていた。
―――もう諦めたのかもしれない。
でもどうして、あんなに部屋の中に入りたがったのかしら・・・。
不思議に思っていると、バサバサ・・・と羽ばたきのような、小さな音が耳に届いた。
外に目を向けると、白フクロウが戻ってきて例の場所にふわりととまったのが見えた。
くるくると頭と体が動いて、部屋の中を覗き込んだ。
「あれは、昨夜の・・・」
気付いた室長が窓際に寄ってきて、白フクロウを観察するようにしげしげと見た。
そんな室長の視線に構うことなく、それは眠ることに決めたのか、目を閉じてじーとしている。
小さな頭が胴に埋まって見えて、何だかとても可愛い。
あまりに大人しそうなので、ふわふわに見えるその白い羽に触れてみたくなる。
腕の中に入れたら、きっとあたたかい。
それに、ほんわりとした気持ちになれそう・・・。
急にムクムクと芽生えてきた愛玩心と闘っていると、細い指が窓の鍵を開け始めた。
ネジ式の鍵がカチャカチャと音を立てる。
それに気付いたのか、小さな頭がぴくんと動いた。
「・・・特に悪さをするようには見えませんが、一応追い払っておきます」
窓を開けて爪を伸ばした手をヒュンと振ると「ピィッ」と一声鋭く鳴いて、白い翼を広げて飛び上がった。
そのまますぃーと上空をひと廻りしたあとテラスの小さな柵の上にとまった。
ガラス玉の瞳は、室長の動向を探るようにじぃーと見ている。
これといって攻撃を仕掛けてくるわけでもなく、ただそこにいるだけなので室長も追い払うのをやめたよう。
「この窓の何が気に入ったのかわかりませんが、そのうち飽きて離れていくでしょう・・・」
ぱたん・・と窓を閉めた。
すると、すぃーと飛んで元の場所に戻り、再び頭を胴の中に埋めた。