センセイと一緒(番外) ~feel.Izumi~
「そうですね。騙す、脅すというのを躊躇なくできるというのは、素質がある可能性大ですね」
「しかも鈴絡みになるとノーコンだから始末が悪ぃ」
「……だから一体何の素質なの、それ……」
和泉は肩をすくめ、言った。
もはや何の話をしているのかもよくわからない。
と思った、その時。
「和泉――――っ!」
校舎の方から鈴菜が顔を見せた。
……その澄んだ純粋な瞳。
この世の穢れとはまるで無縁に見える、その無垢であどけない表情。
鈴をこの魔境に来させるわけにはいかない。
それはナイトとしての判断だった。
和泉はとっさにバッグを手にし、三人を見上げた。
「鈴が来たんで、あたし帰るね! じゃあね~」
言い、脱兎の勢いで鈴菜の方へと走り出す。
背後で三人が何か言っていたような気もするが、あえて無視した。
というか自分はいつまでナイトポジションなのだろうか。
このままいくと……。
「……」
なぜか不安が胸をよぎる。
和泉は不安を振り払うようにぶんぶんと首を振り、鈴菜の方へと向かった。
[センセイと一緒 ~feel.Izumi~ 完]