センセイと一緒(番外) ~feel.Izumi~
和泉はチラシをしまい、ポケットに携帯を突っ込んだ。
そのとき。
見知った顔がこちらの方へと歩いてくることに気付き、和泉は眉を上げた。
「……あれ、兄貴?」
和泉は慌てて立ち上がった。
……柊史がこんな所に来るのは珍しい。
首を傾げる和泉の前に、柊史はいつもの格好、いつもの足取りで歩み寄ってくる。
夜の海を映したかのようなしっとりとした黒い二重の瞳に、形の良い唇。
少しクセのあるルーズな黒髪に、メタルフレームの眼鏡。
引き締まった長身に白衣を纏ったその姿は一見教師には見えない。
黒瀬柊史。26歳。身長185cm、血液型O。
和泉の兄にして3年B組担任。
生物教師だが、実は数学の教員資格も持っている。
性格はざっくばらんでオレ様的。
自分の興味あるものや職務に対しては真摯な態度で臨むが、それ以外はかなり適当。というかほぼ眼中にない。
「なに、どしたの、兄貴?」
と言った和泉に、柊史は前髪をかき上げ、口を開いた。