センセイと一緒(番外) ~feel.Izumi~
「……お前、この間東京に行ったらしいな?」
「あぁ、母さんに付き合ってね。玲兄にも会って来たよ。相変わらず悪魔だけどかなり丸くなってた」
と言った和泉に、柊史は目を細めて笑った。
その形の良い唇を開き、楽しげに言う。
「まさか奴が結婚するとはな。恐らくヒト科の歴史の中でも指折りの珍事だろうな」
和泉は腕を組み、兄の顔を見上げた。
わが兄ながら、こうして見るとやはりその辺の男とは別格の格好よさだ。
しかし、なんというか……。
和泉と柊史は兄妹ではあるが、半分しか血が繋がっていない上、小学校高学年からは一緒に住んでいない。
和泉の知らないところで、柊史にもいろいろ心境の変化があったらしい。
……特に鈴に関係する部分で。
和泉は肩をすくめ、兄を見上げた。
「あのさ、兄貴。玲兄が結婚したからってわけじゃないけど、……兄貴自身は結婚とか、どう考えてるわけ?」
「……は?」
柊史は和泉の言葉に驚いたように目を見開いた。
突然何を言うのか、とでも言いたげな目。
……しかし和泉には確認しておかなければならないことがある。
和泉は柊史を見上げ、口を開いた。
「いや、いろいろ言ってたじゃん? 鈴に対して。……脅してたっつーか……」
「脅してた?」