黒姫
もう一度、グルッと辺りを見渡してみる。
前も横も木。上にはまん丸の月。星もチラチラ見えてる。
さっきほっぺに当たってて痒かったのは、下が草だったんだからだね…。
でも、あの公園には草むらが無かったはず。
それに…こんなに木が生えていない。
もしかして、私…あの黒いフードの男に拐われたの?
ふとそんな事を思ってしまう。
……あの冷たい手みたいなので急に首を絞められて。
フードのせいで目元は見えなかった。
でも、口元を歪めてゾワッとするような声で《見つけた》って言ってた。
「………気持ち悪い…。」
ブルッと体が震えて、自分の両手で体をギュッと抱く。
思い返したせいで、絞められた首元が少しヒリヒリしてる。
見つけたって何?
それに、あの光と声…何だったの??