黒姫
………うん、どんなに歩いても民家の明かりとか全く無い。
満月の光のお陰で足元は何とか見えてるけど、完全には見えないね。
木の枝とかに髪の毛引っ掛かったり…水溜まりに右足入っちゃったり。
道もさっきからボコボコの草ボーボー。
「………はぁ…。」
本日、何回目になるか分からないため息が出る。
大分歩いたから黒ローブの人も追ってはこれないと思うけど、さっきから景色が全然変わってはくれない。
「はぁ…………ん?」
尽きないため息を吐きながら膝まである草を足で掻き分けてると、一気に開けた場所にたどり着いた。