黒姫


ドサッ!!

「いっ……たー……。」







…………ベッドから落ちた。
しかも、お尻から。

落ちた拍子に、お尻を強く打った。

寝起きだったけど、その痛みで一気に目が覚める。








「痛たたた………って、ここは?」


ズキズキと痛むお尻を擦りながら、希愛は見覚えの無い部屋をキョロキョロ見渡す。


朝か昼なのかは分からないが、部屋の中は明るかった。





「ここって……えっ?!夢じゃないの?!!」


辺りを見渡している内に、夢で見たあの茶色い扉や、黒いソファーが目に入る。






お尻の痛みなんでぶっ飛んだ。





慌てて起き上がって窓に駆け寄る。


そこには、夢でみたあの景色のままだった…。



















「夢じゃ…ないの…?」


頬っぺたを軽くつねってみても、痛みがある。


そして、無意識の内に首元に触れた。




「首……何か巻いてる?」


指先に布のような感触が伝わる。













首元の布地に触れながら、希愛は元いたベッドへと戻った。


ポスッと、大きいベッドの端に座ってみる。
弾力があり、希愛の体が少し弾んだ。





ふと、脇の机に制服が畳んで置かれてた事に気付いた。
靴のローファーも近くにある。













(今の状況が全然分からないけど……着替えてこの部屋から出よう。)










そう決めた希愛は、綺麗に畳まれている制服に手を伸ばした。


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