黒姫

そんな少女に、ロゥファは困った笑みを浮かべた。


(もう少し…ちゃんと説明すれば良かったかな…。)


そんな軽い後悔がロゥファの頭をよぎったが、目の前の少女はまだ何も理解できていないと思う。


だが、少女には申し訳ないが…今は王であるレオンを追わないといけない。


そう思ったロゥファは、希愛の目の前に再び膝を折る。



「ノア様、申し訳御座いません。
黒い髪と瞳は、この世界に貴女一人だけなのです。

事情を知らぬ者が、そんなノア様を見てしまうと…きっとビックリしちゃいます。珍しいですからね。

それを防ぐために、少しの間、この部屋から出ないで頂けますか?」



希愛の顔を覗きこみ、これ以上不安な思いをさせない為に優しく言うロゥファ。



希愛は眉を寄せていたが、渋々と頷いた。



それを見たロゥファは立ち上がり、「有難う御座います。」と希愛に向けて言うと、レオンを追うべく足早に外へと出ていった。

















「ノア様、料理が出来るまで私とお話しませんか?」


希愛の上から声が降ってきた。

見上げてみると、笑みを浮かべたリーンがいた。




「料理が出来るまで少し時間があります。

私で良ければ……答えられる範囲までですが、お話できるかと思いますわ。」


ふわっと笑うリーン。

そんなリーンの表情は、やはり和音を思い出させる。



そして、料理が運ばれてくるまで希愛とリーンは話をした。


< 52 / 63 >

この作品をシェア

pagetop