黒姫

三章-お披露目-

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


桜が綺麗に咲く頃…私は真新しい制服を身に付け、鏡の前でクルッと回った。

中学生の頃に着ていた少し地味なセーラー服ではなく、紺のブレザーに灰色のチェック柄のスカート、赤いネクタイ。


凄く新鮮な気分だった。



ずっとこの制服を着てみたかったから、受験勉強頑張ったんだよね……。


受験勉強の時の事を思い出し、少し遠い目になっていたら、ピンクのケータイから私の好きな曲が鳴り出した。



「はい、もしも…「のーあっ!!そろそろ行かないと、入学式に遅れちゃうよ!!」」


電話ボタンを押した後、親友の慌ててる声がケータイ越しから聞こえてきた。



「わわっ!?和音ゴメンっ!今行くから、下で待ってて!!」

和音の声にハッとして、部屋の時計を見上げたら…待ち合わせの時間から5分過ぎていた。


慌てて通話終了ボタンを押し、写真の両親に「行ってきます!」と伝えると、新品でまだはき慣れていないローファーをはいて、外へと飛び出した。




「おはよー、のあっ!!」

「おはよ!和音!!遅れちゃってゴメンねっ。」



階段の下にいたのは、私と同じ制服を着ている親友の和音。

和音もこの春から、私と一緒の高校に通う事になってる。



「大丈夫だよ。クラス表見るから早目に待ち合わせの時間を決めてただけだしっ。」


「うん!ありがとうっ。

……今年も、和音と同じクラスになれれば良いなぁー。」

「うちら、中1の時から全部クラス一緒だもんね。

同じクラスになったら、またうるさくなるんだろーなぁ。」

「ひどっ!!」


和音の言葉にちょっとショック。

むー…と顔をしかめてると、いきなり和音が吹き出した。



「あははっ!嘘だよっ。

希愛と一緒にいると楽しいもんね。」

「私もだよ!和音といると、毎日があっという間だもん。」


和音の笑い声に私もつられて笑う。

そうしたら、頭をわしゃわしゃ撫でられた。



「その顔っ。希愛が笑うと何か元気出てくるんだよねー。」


せっかく整えた髪がぐしゃぐしゃになったけど、和音の言葉が凄く嬉しかった。

でも、ちょっと恥ずかしかったから、タタッと小走りに走った。

きっと、今の私はにやけてる。

後ろから「待ってよー!」って、聞こえたけど待ってあげない。













そうして、私達の高校生活が始まったんだ…。


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