黒姫
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街灯の明かりを頼りに、私は目的のコンビニへと向かっていた。



「おー……6月なのに、夜は冷えるね。」




制服の紺色のブレザーを着ているけど、さっき走って帰ったせいか汗が冷えてブルッとする。
無意識の内に、持っていたカバンをギュッと抱いてしまう。
その時に、胸元の赤いネクタイがクシャッとなってたけど気付かない。



流石に白い息は出ないけど、寒いもんは寒い。
灰色のチェックのスカートも、丈が膝より上だから余計にね…。

ストッキングはすぐ切れちゃうから、私は寒くても黒のソックスを履いている。










スタスタスタ………






周りに民家はあるけど、こんな時間だからかあんまり人とは会わない。
けど、私がいる所では物騒な話を聞かないから大丈夫。
悲鳴上げれば民家に聞こえるだろうし、スカートのポケットにケータイもある。









目的のコンビニまでは家から15分の所にあった。
数メートル先にあるあの公園で、だいたい半分まで来てるって事になる。









スタスタ…スタ…スタ…スタ…



夕方ダッシュしたせいか、心なしか私の足が悲鳴を上げている。

靴は学校指定の革のローファー。これも黒だったけど、足にフィットして動きやすい。

……が、ふくらはぎとか太ももの筋肉はね…。




ケータイを出して時間を確認したら時刻は夜の7時8分だった。


(何か寒いし…少しあの公園で温かいジュース飲んで休憩しよ。)

学校で決められている8時までに帰れれば問題は無いので、公園で一息つく事を決めた。



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