パステルカラーの恋模様 2
発車いたします、と車内アナウンスが流れた。
「…って、こんなに急ぐ必要もなかったね」
「確かに」
思わず笑い合った。
啓ちゃんとはあんまり電車に乗らないから、すごく新鮮な感じがする。
車内は、春休みだからか、かなり混んでいて、あたし達はドアの所にへばりつくような形になった。
…あれ。
あら?あららら?
ちょっとこの体勢、結構ヤバくない?
あたしはドアにベタっと背中を合わせ、啓ちゃんがあたしを覆うようにして前に立ち、あたしの顔のすぐ横に手をついている。
うきゃー!
急に、心臓が…。
いや、これはさっき走ったから?
いや、違うって!だって、だって。
あた、あたし、啓ちゃんの影に…啓ちゃんの……。
「…美園、キツくない?だいじょぶ?」
「だ、だ、だいどぶ!」
あ、さっきの啓ちゃんみたいになっちゃった(泣)
啓ちゃんは、きょとんとしてから、
「あと2駅ガマン」と言って笑った。
男らしさと可愛さのギャップに、胸キュン。
そしてその自覚がない啓ちゃん、何か、もう、あっぱれ(?)です…。