パステルカラーの恋模様 2
あたし達は啓ちゃんのチャリ置きの所まで歩いた。
「ねぇ、美園。今日、DVD借りてかない?今日半額DAYだし。明日から休みだし」
「あ、いいね!」
お部屋でごろごろ、まったりするのが、最近の二人の一番のお気に入りだったりする。
「啓ちゃん、何か見たいのあるの?」
「うん!いっぱいある」
そう言って、啓ちゃんは嬉しそうにエヘヘと笑った。
チャリ置きに着き、啓ちゃんが鍵を取り出そうとポケットを探った。
あたしは柱に寄りかかって、傍にあったソメイヨシノの木を眺めた。
淡い香りを乗せて、心地よい風が頬を撫でる。
ああ、気持ちいなぁ。
「春だねぇ」
あたしは微笑みながら、ご機嫌に春のヒットソングを口ずさんでいた……が。
「……ない」
「え?」
啓ちゃんがロボットみたいにあたしの方に振り返った。
そして、泣きそうな顔でもう一度言った。
「鍵がない……」
「ええっ?!」
ちょっと!何してんのっ、啓っちゃん!!