パステルカラーの恋模様 2
「……美園?」
「…へ?」
気がついたら、啓ちゃんがあたしの目の前で手を振っていた。
いっかーん!
また妄想してしまったぁ~!
あたしは一人で悶えて、百面相。
啓ちゃんは不思議そうな顔して首を傾げた。
するとそこへ、スーツ姿の店員さんが笑顔で近づいてきた。
「いらっしゃいませ。お客様、何かお探しですか?」
「あ、えっと」
あたし達が顔を見合わせると、店員さんがきょとんとあたし達を見比べてから言った。
「ご夫婦ですか?」
「ええっ!?」
あたしは思わず顔を真っ赤にして後ずさり。
啓ちゃんもちょっと照れながら、コホンと咳払いをして、「いえ。僕達まだ、高校生なので…」とつぶやいて誤解を解いた。
店員さんは笑いながら、「あっ、そうでしたか!それは、失礼いたしました」と頭を下げた。
あたし達は「いえいえ…」と小さく言いながら、お互い見つめ合って、ふっと笑った。
確かに、寝具売り場なんかにいたら、勘違いするよね…。
でも、店員さん、ナイスです。
ナイス勘違い。
結局その店員さんに本棚のエリアに連れて行ってもらい、おススメなんかを聞いた。
「あ、これがいい」
啓ちゃんが選んだのは、シンプルな白い本棚。
えらいぞ、啓ちゃん。
今回は優柔じゃなかったね。
店員さんに、配送の手続きをしてもらい、お金を払ってその本棚を買った。
書類を書いたりしている時、あたしが「気に入ったのがあって、よかったね」と言うと、啓ちゃんは、「うん!」と嬉しそうに笑った。