パステルカラーの恋模様 2
「本当にないの?」
「ん~」
あたしは啓ちゃんのポケットの中を探った。
啓ちゃんは空港の持ち物チェックみたいに、おとなしくぴっと手を横にあげた。
「も~…鞄は?見た?」
「んーん。まだ」
「どこに入れたか覚えてないの?」
「ん~~。おっかしいなぁ~…」
啓ちゃんはちまっとしゃがみこんで、鞄を探し出す。
あたしは、ふうっとため息をついて、校庭を眺めた。
運動部が躍動感たっぷりに走り回っていて、何だか見ているこっちまで、活気付けられるみたい。
三年生が卒業して、もうすぐ進入部員も入る時期。
春の大会も近いから、よけいに盛り上がっている。
サッカー部の10番の背番号の男の子が、ロングシュートを決めにかかった。
それが入ったか?!と思った時、隣でずっ、と鼻をすする音がした。
あたしはハッとして、隣を見ると、
啓ちゃんがなぜか泣いていた。