パステルカラーの恋模様 2

「えっ、啓ちゃん!?」


なぜに泣く!

びっくり仰天!



そんなに鍵失くした事がショックだった?!



涙の溜まった目をごしごし擦り、鼻をすする啓ちゃん。

あたしは思わずしゃがみ込んで、啓ちゃんの背中に手を添えた。





「啓ちゃん、鍵、どっかにあるよ、きっと!」

「……ぐす…」

「誰か拾ってくれてるかもしれないし!後でひょこっと出てくるかもしれないし!え~っと…あっ!スペアキーもあるじゃん!だから大丈夫、ねっ」




そう言って、顔を覗きこんだ時だった。

啓ちゃんは小さく呟いた。



「…ずっ…違くて…」

「え?」








「……花粉症なの」

「……は?」



何~?!

花粉症かいっ!!



そういえば、この学校を囲うようにして、ソメイヨシノとケヤキの木が並んでいる。



そうだよね。


改めて考えたら鍵失くしたくらいで泣くなんて、今時じゃ小学生でもありえないって!

いくらこの啓ちゃんでも、ありえないって!



(何かさっきまで普通にありえると思ってたけど、あたし!)




それにしても、大袈裟に励ましたあたしのイタワリって一体……(泣)
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