パステルカラーの恋模様 2

「ていうか、美園、弟いたんだ?!」

「あ、言ってなかったっけ?」

「うん。初耳。いいなぁ、弟!」

「啓ちゃん一人っ子だもんねぇ」

「うん。弟いたらキャッチボールとかサッカーとかしたいな!」



いやん、かわいい夢!

嬉しそうに夢見て笑っている啓ちゃんに、あたしはまたキュン。



紅茶とお菓子を持って、ソファーの前に置いてあるガラスのテーブルの上に置き、啓ちゃんの隣に腰掛けた。




「今日ね、すごい変な夢みたよ」

「ん?何何?!」



あたしはわくわくして、耳を済ませる。

啓ちゃんはご丁寧にジェスチャーつきで説明してくれた。



「俺と美園がね、海で遊んでるのね。なぜか他のお客さんは誰もいなくて」

「うん」

「そしたらね、急に向こうから変な物体が近寄ってくるわけよ」

「うんうん!」

「BGMでジョーズが流れてね。俺らは逃げようとするんだけど、向こうの方が早いのね」



啓ちゃんは大興奮!




「で、追いつかれて、うわ~!ってなったら……!」

「なったら?!」

「それが鮫っちだったんだよ!」



えぇーっ?!

啓ちゃんはあたしの肩を揺らして、




「すっごい怖かったんだよ~!」と泣きまねをした。

あたしはそうかい、そうかい…と適当になだめた。




「お茶とか持って、部屋行こっか?」



あたしはそう誘った。
< 44 / 98 >

この作品をシェア

pagetop