パステルカラーの恋模様 2
啓ちゃんがお母さんの視線に気付いたみたいだ。

啓ちゃんは、笑顔で“んっ?”と首を傾げた。


お母さんはさらに笑顔で、「美味しい?」と聞く。

啓ちゃんが「はいっ」と目を細くして笑うと、お母さんはくらっと後ろにのけ反った。


あ〜何か、こういう所、親子…。

あたしもちゃっかり、胸キュンしちゃった。


しばらくして、啓ちゃんが呟いた。


「あの、お手洗いお借りしても…」


あたしは指でドアを指差す。


「ああ、そこ出て真っすぐ」

「ありがと」

「ごゆっくりね!」


手を振るお母さん。

啓ちゃん、振り返さなくていいから…!




………ああ、もう、どうしてくれよう。



お〜母〜さ〜ん〜〜!!


「ちょっと!お母さ…」




啓ちゃんが出ていった後、お母さんに怒ろうとすると、先に肩を叩かれた。



「可愛いわねぇ〜!もうなんか、本当可愛いわ、あの子!」

「だから痛いってぇ!」

お母さんはあたしに三歩寄り、ニヤニヤしながら続けた。

「彼氏なのよね?」

「えぇ…?」

「彼・氏なのよね?!」

「……んー、まぁ一応」

「やるじゃないの、あんたぁ!」




何かこのテンションやだ…。
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