パステルカラーの恋模様 2
やっぱり、あたしん家じゃ啓ちゃんと二人っきりにはなれそうもない。


あ~失敗した。
これも全部、あのゴキブリのせいだ!


お母さんが嬉しそうに両手を合わせて

「ねぇ、啓太くん、今日家でご飯食べていってもらったら?」と提案した。



あたしは断る理由もないので、お手洗いから帰ってきた啓ちゃんにそのまんま伝えたら、啓ちゃんは嬉しそうに「ぜひ!」と笑った。



―…


「何か…ごめんね、啓ちゃん」

「え?何で?」



さっそく材料を買ってくると意気込んでお母さんが出て行った後、あたしはどっと疲れて啓ちゃんに謝った。啓ちゃんはきょとんとして聞き返す。



「何か気使わせちゃって」

「そんな事ないよ!こんなに歓迎してもらってすっごい嬉しいもん」

「そう?ならいいんだけどさ」



あたしがつまんなさそうな顔してたのか、啓ちゃんがひょいっと顔を覗きこんできた。

うわ、顔近い!



「な、何?」

「美園、拗ねちゃった?」

「へ?」

「ラブラブタイム邪魔されて」

「なっ!!」



イタズラな啓ちゃんの顔、セリフに、あたしは心臓が飛び出るかと思った。

あたふたするあたしを笑って、啓ちゃんはふわっとあたしの両目を右手で覆い、左手であたしの腕を掴んで、そっとキスをした。



「け、け、啓ちゃん?!」

「いひひっ」



余裕だなぁ。くやしいなぁ。

でもやっぱり……啓ちゃん、好きだなぁ。



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