パステルカラーの恋模様 2
「出来ましたよ〜!!」


しばらくすると、一階から軽快な声が聞こえてきた。
あたし達は「はーい」と返事して、階段を下りた。


キッチンに立っているお母さんを見て、あたしの顎はあんぐり。


「あ!お母さん、そのエプロンあたしの!」

「あ、ちょっと借りたわよ」


だから、気合入りすぎ!
お母さんは赤とピンクのラブリーなエプロンを着て、るんるんだ。

テーブルの上を見る限り、今日はすき焼きのよう。



「啓ちゃん、好きなとこ座って」

「うん!」



そんな時、玄関からガチャガチャとうるさい声。
弟の孝也だ。

ばたばたとこっちに駆けてくる。


「ただいま〜〜!お母さん、今日ご飯何〜?お母……」


居間に入ってきた瞬間、孝也の動きが止まった。
目線は完全に……啓ちゃんだ。


「あ、おかえり〜」とあたし。


「お邪魔してます」

啓ちゃんがとびきりスマイルを孝也に向けると、孝也は興奮して叫んだ。



「イケメンだぁー!!」


えぇ〜?!

イケメンに免疫がないのは、この弟も然り……。



孝也はあたしの傍に寄ってきて、腕を揺らした。


「姉ちゃん、姉ちゃん!この人、この前のドラマ出てなかった…?!」

「出てない、出てない」


ま、出てても違和感ないかもしれないけどね。


「どういう関係?」


そう言われて、啓ちゃんがにんまりと笑った。


「彼氏です」


すると孝也はさらに興奮して、「やるじゃん、姉ちゃん!!」と飛び上がった。
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