パステルカラーの恋模様 2

花粉のせいで、目はまだ少し涙目。



「…な、なに」


すると、いきなり啓ちゃんに後ろから両腕を掴まれた。

な、何だ?!



そして、ぽんっとハンドルに手を置かされた。


「?」

「今日は、美園こいで」

「…ええ?!け、啓ちゃんは?」

「ムリ。こげないもん、花粉症だから」




か、花粉症でも自転車はこげるんじゃ…?

啓ちゃんはちゃっかり、後ろの荷台に腰をかけている。




じっと満面の笑みを向けられ、あたしは結局「しょうがないなぁ」と言うハメになってしまった。




啓ちゃんスマイルを向けられたら最後。

誰だって断れまい。




「しゅっぱ~つ!」



なぜかノリノリの啓ちゃんを乗せて、あたしはよろよろしながら、自転車をこぎ、近くのレンタルビデオ屋さんへ入った。





自転車を止めた時、あたしはチャリ鍵を抜いて、啓ちゃんの胸ポケットに入れた。





「もー忘れないでねっ。胸ポケットだよ。いい?」




そう言うと、啓ちゃんはきょとんとして、言い返した。
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