君色Diary
「問題解いていって、わかんなくなったら言って。俺、隣で本でも読んでるから」



空くんはガタッと立ち上がると、そのまま本棚の方へと消える。

あたしはそのスキにカバンから、愛用してるシンプルな手帳を出した。

次いで、筆箱からはピンクのペンを出して。

予定などを書き込むページを開くと、そのペンを素早く動かした。



“恋したかもしれない”



たった一言だけ、そう書いて。

パタンと閉じると、再びカバンにしまいこんだ。

そして、近づいてきた足音に、課題へと視線を落とす。



「って、あれ。それ、中3の問題だけど、もしかして、まったくわかんないの?」



本を片手に帰ってきた空くんは、真っ白なままの課題を見て、呆れたようにそう言って。


あたしは「あはは……」と苦笑を返した。



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