君色Diary
そう言って差し出されたのは、いかにも女の子が好きそうな菓子パン。

空くんはそれを、あたしの手にポン、と置くと、眠そうにあくびをする。


これ……空くんが買ったのかな?

実は空くん、すごい甘党だったりする…?



「あ、それ、俺のじゃないから。さっき購買に行ったら、おばちゃんがおまけでつけてくれたやつだから」


「あ、そうですよね……」



袋に書かれている“クリームたっぷり”の文字を見ていれば、すかさず空くんが口を開く。

そして「……単純」と笑いながら呟くと、ぐてーっと机に突っ伏した。



「た、単純って……今の流れだと、普通、空くんが買ったのかと思うじゃんか!」


「俺は七海が激辛パンとか渡してきても、七海が買ったとは思わないけど?」


「うっ……」



空くんの言葉に、言い返せずに口ごもれば、フッと笑われる。

それにムスッとすれば、空くんはゆっくりと体を起こして、あたしの頭にポンッと手を置いた。



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