君色Diary
単純アドバイス
「悪いな、二人とも……。呼び出したりなんかして……」
「まぁ、予想はしてましたけど」
「そんなに怒んなよ、水原!天宮の次に、瀬戸を操るのが得意なのは、水原しかいねーんだから!」
「……なんで俺まで……」
「はぁ……」とため息をつく空くんを、あたしは呆然と見つめる。
今、目の前にいるのは、空くんと、ジャージ姿の風見先生で。
あたしは首が疲れるのを承知で、風見先生を見上げた。
「っていうか、かざみん先生。一体なんの用だったんですか?なんで葉月のケータイから電話なんて……」
葉月だと思って出てみれば、いきなり低い声がして驚いたんだよ?
しかもいきなり、“体育館に水原と来て”なんて。
夏の体育館はムシムシとしていて。
それに加えて、部活での熱気のおかげで、更に熱くなってるんだから、帰宅部のあたしにとったら、たまったもんじゃない。
まだ来て間もないのに、すでに額には汗が浮かぶ。