君色Diary
「実はな、天宮の調子がおかしいんだ」


「えっ!?」


「べつに体調が悪いとかじゃなくて……なんかぼーっとしてるっていうか。だから、白崎には天宮の手伝いをしてほしいわけ」


「はぁ……、でも、なんであたしに…」


「そんなの、お前が一番天宮と仲がいいからに決まってんだろ。天宮のこと、頼んだぞ」



風見先生は首を傾げるあたしにそう言うと、「それ、天宮のだから」とジャージを指差す。



あ、だから見覚えあったんだ……。

って、調子がおかしいって、もしかして陽向くんのこと…?

要するに、葉月の様子の原因を探ってほしいってことだよね…?


ぐるりと体育館を見渡してみれば、葉月はいなくて。

代わりに、端っこの方でぼんやりとしながらボールを持つ、陽向くんが見えた。



「それでだ、水原……」



“大丈夫かな?”と陽向くんを見つめていれば、隣で搾り出すような声を出した風見先生。

それに視線を戻せば、空くんはそんな先生を見ながら、呆れたような表情でため息をついて。



「聞かなくてもわかりますけど、なんですか」


「……瀬戸の面倒、見てください!」



パンッと両手を合わせて頭を下げた風見先生に、空くんは、再び盛大にため息をついた。


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