君色Diary
「な、なに……」


「女の子なんだから、日焼け止めは塗れよ。室内だからって油断してたら焼けるから」


「え……っわ!?」



その言葉と同時に、頭にかけられたスポーツタオル。

それは空くんが手に持っていたもので。



「日なたに出るときは、それ頭からかぶっとけ」


「え、でもタオル、一枚しかないんじゃ……」


「ちゃんと、体育の授業用と、陽向とのバスケ用で2枚持ってる。それはまだ使ってないから」



空くんはそう言うと、それ以上有無を言わせないかのように、ぐりぐりと上から頭を押さえつけてくる。

それに「身長、縮むから!」と言えば、空くんは楽しそうに笑って。


空くんが、タオル貸してくれた……。

“女の子なんだから”って……。

どうしよう。

すっごいうれしい……!


自然とあふれる笑顔。

嬉しすぎて、胸がキュンと音をたてる。

たぶん、今のあたしの顔は、だらしないくらいに、すごく緩んでると思うから。

あたしはこぼれる笑顔を隠すように、タオルをキュッと握り締めた。



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