君色Diary
にじんだ黒
「はぁー……もうすぐ夏休みかぁ……」
ミーン、ミーンと暑そうに鳴くセミが遠くに聞こえる図書室。
暑い外とは反対に、そこはとても涼しくて。
あたしはズルズルと机にうなだれた。
「なに。夏休み、嫌なわけ?」
「ううんー……嫌じゃないんだけどね……」
そう言いながらため息をつくあたしに、隣で本を開いていた空くんは怪訝な顔をする。
そんな空くんをチラッと見ると、あたしはまた、ため息をついた。
夏休みなんて、嫌どころか、大歓迎だよ。
嫌いな数学の授業、受けなくていいし。
でも……。
でも………。
でも…………!!