君色Diary
「あの……そのジュース、美味しいですか?」



そう言って指差したのは、あたしが両手で握っていたレモンソーダ。

なんのことかと首を傾げれば、茉莉花ちゃんは慌てたように口を開いて。



「あ、えっと……ジュース買いにきたんですけど、どれが美味しいかなって。白崎さん、大事そうに、持ってたから……」



そう言う茉莉花ちゃんの手を見れば、ギュッと握っていた空くんの制服。

チラッと見た空くんは、それを嫌がる素振りもなくて。



「……うんっ、美味しいよ!飲んでみて!えっと……葉月たちが来るかもしれないし、あたし先に戻るねっ」



ニコッと笑って、早口で並べた言葉。

それに茉莉花ちゃんはパッと瞳を輝かせて。

その後ろでは、空くんが驚いた表情であたしを見て。

あたしは「またね」と茉莉花ちゃんに手を振れば、振り返らずに図書室へと走った。


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